今話題のeスポーツに迫る③ 専門学校LoL講師橋爪さんインタビュー

今世界中で注目されている“eスポーツ”に携わる人から、業界について様々なお話を聞くインタビューも今回で3回目。第1回は若手プロゲーマー、第2回はチームオーナーと、現在の“eスポーツ”界を支えている方からお話を聞きました。

今回は、“eスポーツ”界の未来を担う、プロゲーマーを育成する専門学校で「League of Legends (以下LoL)」というゲームの講師をされている橋爪旦稔(あさとし)さん(以下、橋爪さん)が登場。授業の内容や学校生活の雰囲気から、卒業後の進路まで、あまりよく知られていないゲーム系専門学校について詳しく伺います。

講師という仕事を選んだ理由と、その魅力とは?

最初に、橋爪さんのこれまでの経歴についてお聞かせください。
アオハル


アキハバラエンカウント

橋爪さん
橋爪さん
僕は、元々は秋葉原の“eスポーツスクエア”でプロゲーマーが戦う大会の運営などをしていて……その後、ご縁があってLoLのプロチームでコーチやマネジメントを行っていました。

プロゲーマーチームのコーチやマネジメントとは、どのような事をするのでしょうか。
アオハル

橋爪さん
橋爪さん
“eスポーツ”のチームにも、他のスポーツと同様にチームの監督、営業活動等を行うマネージャーやオーナーがいます。そして彼らが決めた方針に対して、アプローチしていくのがコーチになります。
具体的には、選手たちの練習相手を探し、練習試合をセッティング。そして、練習試合が終わったあとは、フィードバックで選手の課題を見つけてアドバイスをします。

どういった経緯で、現在の講師という仕事に就いたのでしょうか。
アオハル

アキハバラエンカウント
橋爪さん
橋爪さん
専門学校から、講師のオファーがありました。
僕の実家は、学習塾をしていまして、元々子どもと接するのは好きで、勉強を教えるのも得意だったので……学校でLoLを教えるのも面白そうだなと思い、快諾しました。

仕事の魅力や、やりがいを感じるのはどのような時でしょうか。
アオハル

橋爪さん
橋爪さん
学校の生徒は、プロ選手と比べるとレベルが低い反面、プロ選手よりも伸びやすく、ちょっとアドバイスをしただけで成長するんです。そういった生徒たちが、結果を出してくれた時や、「ありがとう」と言われると、教える側のモチベーションも上がりますし、やりがいを感じますね。

気になる授業の内容や、学生生活について

実際に授業では、どのくらいゲームをするのでしょうか。学生の雰囲気も教えてください。
アオハル

アキハバラエンカウント
橋爪さん
橋爪さん
週に3、4回、4時間半ほどですね。それだけゲームをやっているので、卒業する頃には、上位のプレイヤーと良い試合ができるほどの力をつける子が多いです。
やはり好きなことをしているので、学生はみんな楽しそうですよ。徹夜でゲームしている子も多いので、朝の出席率は少し悪いかもしれません。人気タイトルゲームが発売されたあとは、学校に人がいなかったりもします(笑)

授業では、具体的にどんなことを教えているのでしょうか。
アオハル

橋爪さん
橋爪さん
ゲームごとに専門の講師がいて、生徒は自分が専攻しているゲームの授業を受けます。
僕が専門としているLoLは戦略性が高く、しかも2週間に一度くらいのペースでルールが更新されるので、変更の度にその内容を紐解く必要があるんです。

頻繁にルール変更があるゲームを学ぶのは、かなり難しいのでは?
アオハル

アキハバラエンカウント
橋爪さん
橋爪さん
やはりセンスがないと、一から学ぶのは厳しい部分があるかもしれません。
センスがある子は、アドバイスすると本当にすんなり伸びます。そういった生徒がどんどん成長するのも嬉しいですし、逆にレベルが低かった子が1年を通して当初出来なかったことが出来るようになっていくのもかなり嬉しいですね。

やはり生徒によって、入学時にはレベルの差もあるかと思いますが、様々な生徒がいる中でどう授業されているのでしょうか。
アオハル

橋爪さん
橋爪さん
どこのレベルに合わせるかというのは、難しい問題ですが……学校と僕の方針としては、上のレベルに合わせます。下のレベルに合わせると上の人がやる気を失い、学校に来なくなりますから。
もちろん、下のレベルの人にもフォローアップはしますが、あとは本人次第ですね。努力は方向性が大事なので、そこは僕や強い人間がクラスにいますからいくらでも相談には乗れます。

他のゲームを専攻している方との交流や接点はあったりするのでしょうか。
アオハル

橋爪さん
橋爪さん
他のクラスの生徒もよく僕の授業を見学に来てくれるので、それをきっかけに他のクラスの生徒と話すことが多いですね。

橋爪さんの授業は、どんな雰囲気なのでしょうか。
アオハル

アキハバラエンカウント
橋爪さん
橋爪さん
僕は授業を自分が受けたくない内容にしたくないなというのがあって。どんなに自分が学びたいことでも受動的な授業だと、つまらないじゃないですか。なので、生徒に質問したり、意見の交換や実践、ディベートの時間を多くとっています。
それに、やはりLoLは教えられる部分よりも、個人の努力による部分がとても大きいので、教えても家で練習しないと伸びないんですよね。だから、授業では頑張れる準備をしてあげて、生徒のやる気を引き出すようにしています。

次ページでは専門学校で学ぶメリットや、卒業後の進路についてお話を伺いました