世界中でさまざまな国籍、職業の人たちがスピーチを行うTED Talks。
勉強に役立つ語学の習得方法から政治や経済、ファッションやデザイン、時事など幅広いテーマでスピーチが行われています。
今回の記事では、膨大な量の動画から最新の科学についてのスピーチを厳選して3つご紹介します。
おこもり中だからといって科学に触れられないわけではありません。ぜひスピーチを見て、もっと科学を好きになってください。
「やる気に関する驚きの科学」 ダニエル・ピンク
最初にご紹介するのは、作家のダニエル・ピンク氏による「やる気に関する驚きの科学」というスピーチです。
簡単な概要をご紹介しますので、ぜひ気になった人は動画もチェックしてみてくださいね。
【実験】お金を出せばモチベーションが上がり、結果が出るのか?
最初に、とある実験についてご紹介しましょう。
まったく同じ作業を、AとBの2つのグループに分けて行ってもらいます。
B→全員が作業を終えるまでの平均時間を調べますと伝える
という条件で作業をしてもらいます。
普通に考えれば、早く終わらせるほどお金がもらえるならやる気が出ますよね。つまり、Aのグループのほうが早く作業を終わらせられるはずです。
しかし実験の結果は、圧倒的にAのグループのほうが作業を終えるのが遅かったのです。
この結果からわかることは、「〇〇をすればお金をあげる」というシステムは、必ずしもモチベーションアップや結果につながるわけではないということ。
テストで100点を取ったら5千円あげるよ、といわれても、それが必ずしも良い結果に結びつくわけではないのです。
お金でやる気が出る場合と出ない場合がある
先ほどの実験を、答えが明確な問題と、想像力を働かせなければ解けないクリエイティブな問題とで行うとどうなるでしょうか。
ここのボールをあの箱にたくさん入れる、などの単純明快な問題と、ちょっと難しいなぞなぞのような問題です。
結果としては、単純な作業ではお金がもらえるAのグループのほうが良い結果が出ました。
しかし、クリエイティブな作業を行った実験では、お金をもらえると聞かされたAのグループのほうが悪い結果となったのです。
この実験結果から導き出された結論は、単純作業では報酬がモチベーションアップ、結果につながり、クリエイティブな作業では報酬は結果につながらない、ということです。
現代では、労働の対価はお金です。しかし、ボールを箱に移すなんて単純な仕事はあまりありません。ほとんどが創意工夫を求められるクリエイティブな仕事です。
それでは、クリエイティブな作業や仕事に関しては何がモチベーションアップ、結果につながるのでしょうか。
やる気を出すには何が重要?
仕事にせよ勉強にせよ、良い結果を出すにはモチベーションを上げなければいけませんよね。
創意工夫が求められる作業の場合、やる気を引き出すポイントは3つあります。
まず、強制されてやる場合絶対にやる気は出ません。
みなさんもご存じのとおり、親に勉強をしろといわれて真面目に勉強ができるようになるほど人間は単純ではないのです。
また、仕事や勉強、部活などに対し、「これをやることで自分が成長できる」と心から思わないとやる気は出ません。
今やっている作業が何のためのものなのか理解することも大切です。
たとえば部活の毎日の厳しいメニューが、一体何のためのものなのかわからなければそれはただの苦行です。しかし、「全国大会出場のための、県大会で〇〇高校に勝つための、〇〇強化のメニュー」だとわかっていればやる気は自然と湧いてきます。
絶対的な王様の命令で、毎日毎日ピラミッド建設のために重い石を運ばされていた古代エジプトの人々と、私たちは違います。
いわれたからやる、ではなく「目的のためにやる」 「自分のためにやる」ではないとやる気は出ず、結果にもつながらないのです。
それは、現代の科学でも証明されています。
もっと詳しく知りたい人はこちら!
「驚くべき幸福の科学」 ダン・ギルバート
続いては、起業家のダン・ギルバート氏による「驚くべき幸福の科学」というスピーチの概要をご紹介します。
3億円の宝くじ当選と突然の下半身不随、幸福度の違いは?
まったく違う状況に置かれている2人の人間がいると、その2人の幸福度はどのくらい違うのでしょうか。
3億円の宝くじを当てた人と、下半身不随になってしまった人の幸福度は、一体どのくらい違うと思いますか?
かたや遊んで暮らせるお金が手に入り、かたや重要な身体機能を失ってしまいました。
みなさんの予想に反して、実はこの2人の1年後の幸福度はまったく同じでした。
嘘でしょ、と思われるかもしれませんが、これが幸福に関する現実です。
トラウマも乗り越えられる? 人間だけが持つ「特殊能力」とは
大金を手に入れる、下半身不随になるという他人から見れば大きな出来事も、案外本人たちは長く引きずっていないことがわかっています。
とても忘れられないようなトラウマを経験しても、3ヶ月以上経てば人生の幸福度にはさほど影響を与えないのです。
その出来事が起きたときには人生最大の幸福を感じたりどん底に落ちたような気分になるのに、一体なぜ3ヶ月後、1年後の幸福度には大きく影響しないのでしょうか。
それは人間が持つ特殊能力「幸福を作り出す力」に関係します。
知られざる2つの幸福
自然発生的幸福と人工的幸福とは?
幸福は、2つの種類に分けることができます。
1つ目は、自然発生的幸福。これは「ほしいと思ったものが手に入ることで感じる幸福」です。お金や地位、名誉や財産が手に入ると、人間は幸福を感じます。
2つ目は、人工的幸福。これはほしいものが手に入らなかったときに自ら作り出す幸福です。
これは「心理学的免疫システム」とも呼ばれ、たとえ記憶障害で一日たりとも記憶を保持していられない人にも備わっている能力です。
つまり人は、置かれた状況に応じた幸せを作り出すことができるのです。
ほしいものが手に入ることだけが幸せじゃない?
面白いことに、望んだものがすべて手に入ることが幸せだとは限りません。
ある実験によると、人はどれでも良い、何でも良いといわれて選んだものに対しては愛着が湧かず、反対にこの中から決めて、この時間までに決めてといわれて選んだものを気に入るのだそう。
つまりどんなお菓子でも買って良いよ、といわれた人は、お菓子を買ったあとも「やっぱりあっちのほうが良かったのかも」「もっと良い選択ができたかも」と悩んでしまい、満足できません。
反対に、200円以内のお菓子を買っても良いよ、といわれた人は、お菓子を買ったあとに自分は良い選択ができたと満足します。
何でも手に入ることが幸せではなく、どん底のような状況でも不幸ではありません。
人間の幸福とは、何とも不思議なものですね。
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