意外と知らない「鉛筆」「消しゴム」「ノート」「シャーペン」の歴史

文房具 歴史

毎日のように目にする文房具。「鉛筆」「消しゴム」「ノート」「シャーペン」などたくさんの種類があり、中には使うだけでなく、見たり集めたりするのが好きな人もいるのではないでしょうか。

しかし、これら文房具の歴史を知っている人はそう多くないでしょう。

そこで今回の記事では、これらの文房具がどのようにしてできたのか、どのようにして変わってきて現在の形になったのかをご紹介したいと思います。

作り方はずっと変わっていない!? 鉛筆の歴史

鉛筆 歴史 年表

まずは鉛筆、文字を書くのに必要不可欠な文房具です。

鉛筆が作られたのは、日本ではなくイギリスです。
この項目では、鉛筆がイギリスでどのようにして作られ、その後現在の形に変化し、日本で一般的な文房具になったのかをご説明していきます。

ヨーロッパで進化していった鉛筆

鉛筆の原点は、1560年代にヨーロッパで発掘された黒鉛です

イギリスの北カンパーランドのボローデール鉱山で発掘された黒鉛の黒くなめらかな性質に注目し、細く削って鉛筆の芯として使い始めるようになりました。
鉛筆の柄の部分に関しては、芯を木の枝に挟んだり、芯に布を直接巻き付けたりすることで筆記用具として使われていたといわれています。

その後、カスパー・ファーバーというドイツ人が硫黄と黒鉛の粉を混ぜて鉛筆の芯を作りましたが、書き心地はあまり良いものとはいえませんでした。

1795年になると、ニコラス・ジャック・コンテというフランス人が硫黄の代わりに粘土を混ぜて、それを焼き固めると芯ができること、さらにその比率を変えることで芯の強度を変えられることを発見しました。

現在でも鉛筆は基本的にこのコンテの発見した方法で作られています。

鉛筆が日本に入ってきたのはいつ?

ヨーロッパにて発掘され、現在形に進化していった鉛筆ですが、日本に鉛筆が来たのはいつ頃なのでしょうか。

実は、いつ鉛筆が日本に来たのか明確には分かっていません。
しかし、徳川家康伊達政宗が使っていた鉛筆が残っているため、そのころにヨーロッパからの献上品として日本に鉛筆が来たのではないかといわれています。

徳川家康の使用していた鉛筆は、今でも静岡県にある久能山の東照宮に大切に保存されています。

その後1853年頃、ペリー来航に伴い開国されたことをきっかけにアメリカからたくさんの鉛筆を輸入することができるようになり、そして日本全体に広まりました。

これをきっかけに鉛筆は一気に一般的な文房具になったといわれています。

プラスチック消しゴムは日本生まれ!消しゴムの歴史

消しゴムの歴史 年表

現在は、修正テープや修正ペンなど文字を消す筆記用具がたくさんありますよね。
そんな中でも鉛筆やシャーペンの文字を消す役割をしているのが「消しゴム」です。

日頃ごく当たり前のように存在している消しゴムは高校生も使う場面がたくさんありますよね。
そんな消しゴムですが、実は鉛筆が開発されてから消しゴムができるまでには200年も時間がかかりました

そこで、消しゴムができるまでの歴史と、日本が世界で初めて開発した消しゴムについてご紹介したいと思います。

鉛筆があるのに消しゴムがなかった200年間

16世紀に黒鉛が発掘され、鉛筆として使用することになりましたが、そのとき消しゴムは存在しませんでした。

そこで字を消すために利用していたのは小麦パン。なんとパンを消しゴムの代わりとして使用していたのです
貧乏な絵描きは空腹のあまり、デッサンの修正に使った黒いパンを食べていたという話もあります。

消しゴムの起源は、1770年にイギリスの化学者ジョセフが天然ゴムを使えば鉛筆の字が消えることを発見したことです。
それは、鉛筆ができてから200年もあとのことでした。

その後、植物油に硫黄を混ぜて粉状にしたものが発見され、それを天然ゴムと混ぜた消しゴムが作られました。
そして、その消しゴムはイギリスからフランス、ヨーロッパ、そしてヨーロッパから世界へと広まっていったのです。

日本が世界で初めて開発した消しゴムとは?

日本が世界で初めて消しゴムを開発したのは明治26年頃といわれています。

その要因は、明治政府が義務教育を始めたため国民が文房具を使う機会が一気に増えたことが社会的背景の一つとして挙げられます。

当時、世界中で使用されていた消しゴムは天然ゴムで作られているのが主流。しかし、天然ゴムで作られた消しゴムは素材が高価だったため消しゴム本体の価格も高く、もっと安く生産できないかということが課題でした。

そして日本国内で明治時代に開発した消しゴムはお世辞にも高い品質とはいえず、十分に字を消すことができなかったため、海外より輸入した天然ゴムの消しゴムに頼ることがほとんどでした。

しかし、大正時代には国内消しゴムメーカーがいくつか誕生し、国産の消しゴムが本格的に作られるようになりました。その後、昭和になってやっと国産の製図用消しゴムが完成しました。

その後も消しゴムの消す力を高める研究を続けていき、1959年に天然ゴムを使わない世界で最初のプラスチック消しゴムを発売開始することになったのです。
天然ゴムで作った消しゴムよりも安く購入できることから、その後プラスチック消しゴムが普及しました。

幻の「鮫印消しゴム」とは!?

みなさん、「鮫印消しゴム」という消しゴムを見たことがありますか。

鮫印ゴムは100年前にアメリカから輸入された商品で、リアルな鮫の絵が描かれた消しゴムです。
当時からロゴやブランド名が書かれた消しゴムはありましたが、リアルな鮫の絵が描かれた消しゴムは大変珍しく、当時日本国内で大ヒット商品となりました。

現在発売はされておらず、古い文房具マニアも持っていないような幻の消しゴムといわれています。

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