ゲームの腕を競い合うeスポーツは2019年から国体の文化種目にも採用され、スポーツとしての地位を確立しつつあります。
そこで注目したいのが、eスポーツの部活の存在。これまで学校で禁止されていたテレビゲームを部活動として採用する高校が増え、教育業界の意識も変わりつつあります。
今回は高校を中心にeスポーツの部活について解説します。また、eスポーツの部活で活躍中の学校や学生大会なども合わせて紹介しましょう!
高校eスポーツ部の状況
eスポーツが部活動として取り組まれるようになったのは日本eスポーツ連合(jesu)が設立された2018年頃。つまりここ最近の話です。
ですが、2018年に開催された「全国高校eスポーツ選手権」は、初開催にも関わらず153校もの参加者が集まりました!
佐賀県立鹿島高校:eスポーツ部
成立学園高校:マルチメディア部 eスポーツ班
明聖高校:eスポーツ部
東京実業高校工芸部:eスポーツ班
岡山県共生高校:eスポーツ部
愛知県立城北つばさ高校:eスポーツ部
長野県松本工業高校:電子工学部 eスポーツ班
上の表はeスポーツ選手権に出場した高校の一部です。全国にeスポーツの部活ができいるのが分かりますね!
eスポーツのプロ選手が出始めた当初においては、既存のスポーツとゲームとのギャップから「eスポーツ」というネーミングに否定的な声もありました。しかし、大食い選手を「フードファイター」と呼ぶように、真剣に競い合える物事と人がいれば、それは競技になり得ます。
学校の通学スタイルによって普及度合いが異なる
学校を比べる要素といえば「学力偏差値」が定番ですが、eスポーツの部活動について見た場合は通学制度の違いが重要な意味を持ちます。具体的には通信制・定時制の高校がeスポーツの部活に意欲的な一方、全日制は遅れているのが現状です。
通学制度は学校の校風や教育方針と密接に関係しているのですが、具体例を元にお話しした方が分かりやすいですね。
ここからは通学制度の違う高校別に、eスポーツの部活事情を深堀りしていきましょう。
通信制の高校
eスポーツの部活が最も盛んな学校が、通信制の高校です。その理由として、「通信学習」という自由度の高い学習スタイルがeスポーツとマッチしていることが挙げられます。
通信制の学校は通学することがなく、実際にグラウンドに集まることもないため、運動部として活動をするのは困難です。ですが、eスポーツならインターネットを利用して遠くにいる同級生と繋がってコンピュータゲームで対戦することができます。
つまり「通学する必要がない」という学習環境がeスポーツおいてはメリットになるのです!それゆえeスポーツ部の設立数が多くなっています。
通信制は活躍している高校も多い
通信制の高校はeスポーツ部の設立数だけでなく、eスポーツ大会シーンでも活躍する姿が多く見られます。
N高等学校は角川書店と株式会社ドワンゴが合同で設立した通信制の高校で、2018年にサッカー部と格闘ゲーム部を合併してeスポーツ部を創設しました。同じ年の9月に開催された『ウイニングイレブン』のアジア大会では、在学生の相原翼さんが日本代表選手として出場し、見事優勝しています。
千葉県にある明聖高校も通信制の高校で、2018年11月にeスポーツ部を設立。高校のホームページ内にあるブログでは、部員がキャンパスの部室に集まって練習している様子を見ることも可能です。通信制の学校でありながらキャンパスへ集まってプレイするあたり、やる気の高さが伺えます。今後の活躍が楽しみですね!
定時制の高校
定時制は通学する時間帯を朝・昼・夕から選んで登校できる通学スタイルのことです。学外活動との両立がしやすいことや、1日の授業時間が4時間程度と短めなのが特徴です。屋外スポーツは外が明るい朝から昼の時間帯に練習するため、定時制高校では部活に取り組むのが難しいこともあります。
一方、eスポーツはオンライン対戦を使えば24時間、世界中のプレイヤーと対戦してスキルを磨くことができます。また、定時制は全日制と比べて学費が安く、アルバイトで学費を稼ぎながら学校に通っている学生さんもいたりします。
eスポーツはゲームとネット環境さえあれば練習できるので、経済的な面でも挑戦しやすいスポーツといえるでしょう。
活躍している定時制の高校
定時制も学生の自主性を重んじる校風の学校が多く、eスポーツ部を立ち上げる学校が続々と出てきています。
愛知県立城北つばさ高校は2017年に開校したばかりの定時制高校で校長先生の発案で2018年にeスポーツ部を創設しました。部活には車いすで通っている学生も参加。eスポーツなら体格面でのハンディキャップを気にせず上達できるのがいいですね。
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